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カテゴリ:SSH事業

【SSH】令和8年度公開講座「高校生と教員の動植物研修」のお知らせ

今年度も、越谷北高校では地域との連携及び学校開放のため公開講座「高校生と教員の動植物研修」を実施します。

野外での動植物の観察を通じて、以下のことを学びます。
生物の基本的な知識
動植物分類の基礎
探究的な学習(生物観察から課題を見出す)

次の全6回を予定しています。各回ごとに参加申し込みを受け付けます。
なお、今年度から申し込み締め切りを実施日の20日前までとしますのでご注意ください。

①5月3日(日) 幸手市内池・高須賀池周辺 (南栗橋駅西口8:50集合)
②6月21日(日) 行田市荒川河川敷 (JR行田駅西口8:50集合)
③7月19日(日) 羽生水郷公園周辺 (さいたま水族館正面休憩舎前10:40集合)
④10月25日(日) 長瀞町蓬莱島周辺 (秩父鉄道野上駅改札前8:50集合)
⑤11月14日(土) さいたま市末田須賀堰周辺 (朝日バス巻の上停留所前8:50集合)
⑥3月27日(土) さいたま市岩槻文化公園周辺 (岩槻文化公園体育館前8:50集合)

野外での動植物観察に興味がある高校生、教員(校種は問いません)は、 こちら をご覧いただきお申し込みください。

第1回(5月3日)のお申し込みは、申込専用フォーム(下URL)へお願いします。

https://forms.gle/uGGDtBK1aSs54XvF8

【SSH】3月28日公開講座(さいたま市田島ヶ原周辺)

3月28日(土)さいたま市田島ヶ原でフィールドワークの公開講座を実施しました。

今年の公開講座は「荒川河川敷」をテーマに、中上流域では秩父市武州中川から、深谷市武川、熊谷市大麻生と観察をしてきました。(長瀞町、行田市は雨天のため中止になってしまいました)
今年度最後のフィールドワークは、下流域ということでさいたま市桜区の田島ヶ原周辺で中上流域との違いを見ながら動植物観察をしました。
当初は天候が危ぶまれましたが、未明まで雨が残りましたが気温も上がり絶好のフィールドワーク日和となりました。

今回は高校生15名、卒業生2名、教員1名が参加しました。

 


さくら草公園に集合し、まずは田島ヶ原サクラソウ自生地を観察します。
田島ヶ原サクラソウ自生地は、数少ない埼玉県の花サクラソウの自生地であり、国の特別天然記念物に指定されています。
保全地はヨシ(イネ科)が生える湿地であり、夏には背丈を超えるほどのヨシ原になっています。
生態系保護のため、毎年1月頃に野焼きをして地上部の枯れたヨシを焼き払い、早春にはヨシより早く葉を展開する様々な湿地の希少な植物を観察することができます。
サクラソウも、そのような希少な植物の一つです。


フィールドの観察では、様々な視点を持つことが大事です。
生物個体を見る、個体群を見る、生物群集を見る、生態系全体を俯瞰するなど・・・。
ミクロな視点とマクロな視点で自然を観察することで見えてくるものが変わってきます。


保護地を広く見ると、黄色い花をつけたノウルシ(トウダイグサ科・環境省NT準絶滅危惧、埼玉県NT準絶滅危惧)が目立ちますが、群落ごとに見ると生え方、花期、葉の色など微妙に違いがあるように見えます。
これは、遺伝的な要因でしょうか。それとも環境変異?


足元に目を移すと(保護地の外です)、カタツムリやナメクジが見られました。


ヤマナメクジ(ナメクジ科)が交尾していました。
ナメクジは雌雄同体で、互いに精子を交換し受精させます。
名前のとおり、山地で見られるナメクジですが、平野部でも森林で見られることがあります。
隣接する秋ヶ瀬公園の雑木林から来たのでしょうか。


枯れ木にはヒダリマキマイマイ(オナジマイマイ科)が二匹ついていました。
殻の巻きが他のカタツムリ(右巻き)と逆のためヒダリマキマイマイと呼ばれます。


朽木の根元にヒメマイマイカブリ(マイマイカブリ関東亜種、オサムシ科)がいました。
越冬していたようです。


保護地の歩道に入り観察をします。
講師から積極的に説明するというよりも、参加者に「分からないこと」を見いだして質問をしてもらうようにしています。

ここで見られた植物を紹介します。


サクラソウ(サクラソウ科、環境省NT準絶滅危惧、埼玉県VU絶滅危惧Ⅱ類)はたくさん咲いていました。


アマナ(ユリ科、埼玉県NT準絶滅危惧)もたくさん見られました。
すでに花が終わり実になっている株もありました。


一部にヒロハノアマナ(ユリ科、環境省VU絶滅危惧Ⅱ類、埼玉県EN絶滅危惧ⅠB類)も咲いていますが、どうも植えられたもののようです。


ジロボウエンゴサク(ケシ科、埼玉県NT準絶滅危惧)もちらほら咲いていました。
ジロボウ(次郎坊)は太郎坊(スミレ)に対して近畿地方で呼ばれていた呼び名に由来するそうです。


シロバナタンポポ(キク科)もちらほら見られました。
外来のセイヨウタンポポは一年中花をつけますが、在来タンポポの多くは春のみ咲きます。
西日本では黄色い花をつけるものよりもシロバナタンポポの方が多いため、タンポポと言えば白い花というイメージの地域もあるそうです。


光沢のある黄色い花を咲かせているのはヒキノカサ(キンポウゲ科、環境省VU絶滅危惧Ⅱ類、埼玉県CR絶滅危惧ⅠA類)でした。
埼玉県内では、田島ヶ原を含む2か所でしか確認されていない希少種です。


ヒロハハナヤスリ(ハナヤスリ科、埼玉県VU絶滅危惧Ⅱ類)は、シダ植物の一種です。
胞子葉を伸ばしはじめているところでした。
夏には枯れ、翌年の野焼き後にまた地下茎から葉を出す多年草のシダです。

春の花としておなじみのスミレも何種類か見られました。

ツボスミレ(スミレ科)


アリアケスミレ(スミレ科)


ピンボケですが、ノジスミレ(スミレ科)

他にも、タチツボスミレなどが見られました。
春はいろいろなところでスミレを探して歩くのも楽しそうです。

保護地を出て、公園のすみの植え込みや草地を観察しました。

足元からも何種類もの植物が見つかります。
もう少し暖かくなってくれば、ゴミムシなどの徘徊性昆虫も見つけられるようになるでしょう。


参加者の一人が、エノキ(アサ科)の枝にアカボシゴマダラ中国産亜種(タテハチョウ科、特定外来生物)の幼虫を見つけました。
冬の間は根元の葉裏で越冬していますが、暖かくなってきてエノキに登って枝の又に落ち着いているようです。
見事な擬態で、よく見ないと見つけることができません。
他の参加者も探して、何頭か見つけ出しました。
安定して生息しているようです。


午後は公園を出て、河川敷を観察することにしました。


水の近くまで移動してきましたが、タチヤナギ(ヤナギ科)などのヤナギ類、スイカズラ(スイカズラ科)、ガガイモ(キョウチクトウ科)など在来種は少なく、外来の植物がとても多いです。
現状として外来種だらけの河川敷の環境に、私たちはどのように向き合うべきなのでしょうか。

水鳥も少しだけ見ることができました。
遠いので、証拠写真程度ですが・・・


カンムリカイツブリ(カイツブリ科、埼玉県VU絶滅危惧Ⅱ類)です。

他に、オオバン(クイナ科、埼玉県NT1準絶滅危惧)、カイツブリ(カイツブリ科)も少し見ることができました。

少し狭いですが、河原で閉会行事をしました。

参加者の感想(抜粋)

・普段では見られないような様々な希少な植物を見ることができて面白かった。いろいろなレベルの多様性を見ることができた。
・久しぶりに参加したが、自然を見る目の感覚を取り戻すことができた。(卒業生)
・生物多様性の3つの階層(生態系多様性、種の多様性、遺伝的多様性)を意識して観察をすることができた。マクロな視点、ミクロな視点といろいろな視点で観察をするのが楽しかった。
・保護されているところでは様々な在来の希少種が見られたが、河川敷では外来種ばかりで、どうしたらいいかを考えなければならないと思った。
・見たことのある植物でも、芽生えだと様子が違っていて見分けるのが難しく、面白かった。
・これまでさくら草公園には来たことはあったが、上ばかり(桜)見ていて足元を見ていなかった。地面に小さな花がたくさん見られて、発見があって面白かった。
・参加者の高校生の様子を見ていると、いろいろなことに興味を持って、自由に観察したり考えを巡らせたりしていて、素晴らしいと思った。(卒業生)
・フィールドに出て観察してみると、生物たちの関わりが立体的であることが実感できて面白い。また、時間の流れを意識して観察すると興味深い発見がある。(教員)

今年度は、荒川河川敷をテーマにフィールドワークを行い、中上流域から下流域まで様々な河川敷の環境を観察しました。
上流に近い秩父市の河川敷ではゴロタ石で希少な生物がたくさん見られましたが、中流、下流と下るにつれて河原を土が覆い、外来種が多くなっていっています。
フィールドワーク講座の目的は、野外での動植物観察から探究課題を見出すことですが、外来種対策はとても大きな課題として、考えさせることの多いテーマになると思います。
これまでのフィールドワークで参加者が気付いている(感想にも書かれています)ように、どんな生物も単独で「そこに在る」ことはなく、様々な生物、生物以外の環境(非生物的環境)と関わりを持ちながら生態系の一部となって存在しています。
外来生物問題や希少種の保全について考えるとき、その生物種についてだけ考えるのではなく、それと関わりをもつ様々な生物、環境に思いを巡らせることはとても重要なことです。
フィールドワーク講座に参加した皆さんが、今後も自分なりに自然と関わる活動を続けていただいて、生態系をめぐる課題の解決に関わってもらえればありがたいです。

今年度のフィールドワーク講座は今回で最後になります。
次年度の予定については、4月以降に越谷北高校HPにて公開する予定になっておりますので、興味を持たれた方はチェックしていただいて、ぜひ参加をご検討ください。

【SSH】令和7年度_1学年_課題研究(生物・地学分野)中間発表会

3月13日(金)2・3限に理数科1年生の課題研究中間発表会が開催されました。

理数科1年生では2学期から課題研究に取り組みますが、6月の本発表に向けてさらに研究をブラッシュアップする場として、毎年3月に現時点までの研究の中間発表を実施しています。

 

研究題目は以下の通りです。

生物分野

1班「時間経過による固有周波数の変化に基づく野菜の状態評価」

2班「酵母の冷凍保存」

3班「加熱による有機酸量の変化」

4班「植物の緑の香り(GLVs)とその成分による防御作用」

地学分野

1班「ビル風を弱めるには」

2班「透水層埋設工法による効率的な排水方法の実証」

3班「巨大地震は予測できるのか?」

 

 

見学している2年生から多くの質問がありましたが、1年生は堂々と対応していました。

SSHの運営指導委員の先生方からも研究に対するアドバイスを多く貰うことができました。

 

本日いただいた意見をもとに6月の本発表に向けて研究を進めていきたいと思います。

 

【SSH 】令和7年度国立科学博物館研修

 

2/4 57期理数科 国立科学博物館研修

 地球館

地球館では、地球の誕生、生命の進化、人類の歴史を化石や標本、体験型の装置で楽しく学ぶことができました。

地下1階では、職員さんから恐竜の卵について説明を聞き、実際の卵を持つことでその重みを直に体験することができました。

 

1階では、現代に生きる植物や生物の展示がされており、その種や特徴について細かく知ることができました。また、身近に生きる生物もたくさん展示されていたので、親しみを持ちながら学ぶことができました。

ヒトの展示には何か見慣れた人に似ているものが…

また3階ではヨシモト・コレクションの展示があり、凛々しく、美しく、力強い剥製からは感動を覚えました。また、ここでは2頭のごりらの展示も見ることができました。

 

 

日本館

日本館では島国ならではの生息する生き物の特徴や、日本列島の成り立ち、日本に存在する鉱石、他にもワニについての展示などを見学することができました。

一階ではワニに関する展示が開かれており、ワニの標本に実際に触れるといった体験をしたり、ワニの生態について学んたりすることでそれらを通して、陸上脊椎動物の進化の過程を知ることができました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2、3階では、日本に生息している生物や、存在している鉱石、日本列島の成り立ちなど、日本の特徴について展示されていました。

【SSH】第6回公開講座(3月28日)参加申し込みフォーム

越谷北高校公開講座「高校生と教員の動植物研修」今年度第6回(さいたま市田島ヶ原サクラソウ自生地周辺)を3月28日に実施します。

当日は8:50に桜草公園※に集合、サクラソウ自生地周辺で春の動植物観察を行います。
※JR西浦和駅より徒歩20分、またはバス(浦和駅または中浦和駅より)「さくら草公園」下車徒歩5分

野外での動植物の観察を通じて、以下のことを学びます。
生物の基本的な知識
動植物分類の基礎
探究的な学習(生物観察から課題を見出す)

参加ご希望の方は、専用フォーム(以下URLまたはQRコード)からお申し込みください。

https://forms.gle/n2Dm9tSu1aGF9AVU8

【SSH】SSH講演会

12月16日(火)にSSH講演会がありました。埼玉大学副学長の石井昭彦先生にご講演いただきました。

話を聞く前は有機化学についての知識がほとんどなく、話についていけるか、理解できるのか不安でした。

ですが、『身の回りにある有機化学』ということで、私達にわかりやすく講演してくださり、不安はすぐになくなりました。

特に興味深かった内容は蛍光物質についての話です。

オワンクラゲからイクオリンと言う物質を抽出し、それを解析してカイコや猫といった生物に組み込むことで、それらの生物が暗闇で光るようになるというような内容で、このような研究結果を聞いてとても驚きました。

その他にもリサイクルについてや身近な匂いの成分、紅葉の仕組みについても化学的な観点から説明してくださり、有機化学についての知見を深めつつ、今後の学びに繋がる視点を養うことができました。

【SSH】グリーンエネルギープロジェクト(10月18日〜10月19日)

10月18日、19日に株式会社建設技術研究所様のご支援の元、グリーンエネルギープロジェクトの活動で群馬県にある八ッ場ダム、榛名山、利根大堰を訪れました。

グリーンエネルギープロジェクトとは、越谷北高校SSHⅡ期5年間を通じて、再生可能エネルギーなどエネルギーをテーマに探究をするプロジェクトです。

今回は2年生10人、1年生11人が参加し、ダムや堰の役割やこれらの建設と人や生物の関わりについて学んできました。

  

 1日目は自然に囲まれた群馬県吾妻郡にある八ッ場ダムを訪れました。

↑この下にかつて村があったと思うと複雑な気持ちになりました。

 

八ッ場ダムは堤高116.0m、堤高長290.8mもある、総貯水容量1億750万tを誇るダムです。昭和22年のカスリーン台風の被害を受け、洪水被害を減らすため初めての設置案が出されました。しかし、支流の川の水性が強酸性であったため、計画は一旦凍結。そんな中、水質を改善したことで建設事業は再開。そして2020年に無事、運営開始されました。今回、私たちは八ッ場ダムの内部に入り様々な設備を見てきました。

内部を見る前はダムとは水をためるためだけの壁のようなものと考えていましたが、中には大きなポンプのような装置や水量を調整する装置などの精密機械が多くあり、細かい技術で水を調整しているのだと学び、今までのダムの捉え方が大きく変わりました!

元々洪水調整が主な役割ですが、下流にある新設された発電所では、最大出力11,700kwものの発電を行っています。

夜にはグループごとにダム建設予定地の住人、洪水被害をなくしたい都会の住人、建設を進めたい国の職員などの様々な役に分かれてダム建設時を想定した劇を行いました。それぞれの立場の思いや状況を実際に自分たちが成りきって考えたことでダム建設時に関わった多くの方々の思いについて考えさせられました。

 

八ッ場ダムは洪水調整を目的として設計され、現在私たちの生活を支えてくれる存在となっていますが、その背景には吾妻郡の環境破壊だけでなく地域のために犠牲になるという苦渋の決断を出してくださった住民の方々を始めとする多くの協力があることを学びました。

 

2日目は榛名山を訪れました。

榛名山は50万年前からしばらく続いた火山活動によって形成された標高1449m、直径約22kmの活火山です。標高1084mにある椎名湖は昔にあった火山活動によって榛名山の一部が吹き飛んでできたカルデラが元になっています。榛名山では人の手が入ったこともあり、柏やブナ、ミズナラなどの落葉樹、カラマツなどの針葉樹がやや入り混じって生えていました。

ここではハートマークが特徴のエサキモンキツノカメムシや美しい光沢を持つツチハンミョウ、派手な赤色のコウライテンナンショウなど発見しました!

 

 

最後に群馬県と埼玉県の県境にある利根大堰を訪れました。

利根大堰は昭和43年に完成し、現在、首都圏に水道水と工業用水を供給しています。大堰には水位を調整したり、洪水時に水を安全に流したりする働きもあります。また利根大堰には3つの魚道が設置されており、魚が上流と下流を移動できるようになっています。これにより川の生態系を守っています。

↑このコの字型の窪みで魚が休めるそうです。

実際に中から多くの魚たちが上流に向かって力強く跳ねて移動している様子が見えました。 

人が単に川の流れや水を利用するだけでは環境を壊してしまうため、環境を保全しつつ共存していく工夫が多く施されていることを学びました。また環境全体だけでなくそこに生息する生き物や地形そのものなどの細かいところまでの考慮の積み重ねが大切になることも学びました。

 

今回、私たちは、人と自然の共存を続けていくための工夫が詰まった場所を訪れ、実際に近くで見て、自然環境とのあり方について実感することができました。生活を豊かにするためにただ開発を行うのではその地域や住民の方々に大きな影響を与えてしまいます。そこで今回学んだ様々な工夫のうち身近でできることを実践していったり環境や地元の住人たちのことを踏まえて慎重に行動したりして自然や地域とのバランスを保ちながら生活をしていきたいです。

【SSH】11月16日公開講座(熊谷市大麻生荒川河川敷)

11月16日(日)熊谷市の秩父鉄道大麻生駅~荒川河川敷でフィールドワークの公開講座を実施しました。
今年の公開講座は、テーマ「荒川河川敷の生物相」と(こっそり)銘打ってすべて荒川の河川敷で計画しました。
しかし、天気のめぐりが悪く、5月回(行田市)、10月回(長瀞町)とこれまでの5回中2回も雨天中止になってしまっています。
今回も心配していましたが、結果的には天気よく、寒すぎず暑すぎずで様々な動植物の観察をすることができました。

今回は高校生10名、教員3名、博物館職員1名が参加しました。

 

秩父鉄道大麻生駅から荒川河川敷へ向けて歩きます。


道端の木に花がついていました。
シロダモ(クスノキ科)です。
防虫剤の原料にもなるクスノキの仲間で、クスノキと同じように葉に独特の芳香があります。
葉の裏が白く、白いタブノキ(タモ)からシロダモと呼ばれるようになったそうです。


荒川の河川堤防に沿って歩きます。
堤防といっても、河道側を見ても水は見えません。荒川は広いのです。
この数日前から急激に冷え込みましたが、その影響か、いかにもこのような草原環境にいそうなバッタ類がほとんど見られませんでした。


河川敷のゴルフ場に挟まれた道を通って川に向かいます。
途中の植物も観察します。ここでは、エノキ(アサ科)、トウネズミモチ(モクセイ科)、アカメガシワ(トウダイグサ科)などを観察しました。
アカメガシワの葉には蜜の出る腺点があり、アリが集まることもあります。
なぜ、(わざわざコストをかけて)蜜を出しているのでしょうか?


チュウゴクアミガサハゴロモ(ハゴロモ科)がいました。
蛾の仲間のように見えますが、セミに近い仲間で、中国原産の外来昆虫です。
日本産のアミガサハゴロモによく似ていますが、色味と前翅の端の白い斑紋の形で容易に見分けられます。
今年はこの子が大増殖してあちこちで見られました。
越谷北高校でも廊下の窓などによく張り付いている姿を見かけました。
この昆虫が入ってきたことは、ヒトの生活や在来生態系にどのような影響を与えているのでしょうか。


コセンダングサ(キク科)とコバノセンダングサ(キク科)を見つけました。
いずれも北アメリカ原産の帰化植物です。
花が咲いたあとにできる実の先端にかぎ針のような構造があり、衣服によくくっつくため、「ひっつきむし」といわれる植物のひとつです。


キクタニギク(キク科)が咲いていました。
観賞用に栽培されることもある日本古来の野菊の一つなのですが、道路の法面緑化のためにまかれた中国産のキクタニギクも各地で定着しているそうです。
これは在来、外来、どちらの個体でしょうか。


ツルウメモドキ(ニシキギ科)の実がついていました。
きれいに裂けた黄色い果実から鮮やかな赤い仮種皮に覆われた種子がのぞいて、とてもかわいいです。
クリスマスリースの飾りに使われることもあるそうです。


アカボシゴマダラ(タテハチョウ科)の幼虫を見つけました。
画像で分かりますでしょうか・・・。
ナメクジ型の幼虫が、エノキの枝の分かれ目に張り付いて見事に擬態しています。

アカボシゴマダラは中国原産の美しい蝶です。
90年代に人為的にもちこまれたと言われています。
日本産のアカボシゴマダラ(奄美諸島周辺にのみ生息する固有亜種)との交雑や、同じエノキ食の蝶への影響が心配され特定外来生物に指定されています。

成虫も幼虫も在来のゴマダラチョウによく似ていますが、慣れれば見間違えることはありません。

ゴマダラチョウは秋に生まれた幼虫は3齢幼虫で木(エノキ)から降り、木の根元の葉裏で冬を越します。
冬を越した幼虫は5月頃に動き出して木を登り、エノキの葉を食べて育ちます。

アカボシゴマダラも同じような越冬行動をとるのですが、在来のゴマダラチョウほど季節に厳密ではないようで、けっこう遅い時期でも成虫が産まれることがあります。また、春に動き出すのもゴマダラチョウよりも早く、3月末には活動している幼虫を見つけることがあります。
このような行動の違いは、何を意味しているのでしょうか。


アツバキミガヨラン(キジカクシ科)が見事に咲いていました。
この花は少し変わった特徴を持っており、受粉に共生する蛾(ユッカ蛾)が必要とされています。
アツバキミガヨランは北アメリカ原産の植物であり、ユッカ蛾は日本にいないため種子ができないとされています。
したがって、生えているのは民家の近く(観賞用に植えられたもの)に限られるはずなのですが・・・。
それにしては、野外のまったく意外なところで見かけることがあります。
もしかして種ができることもあるのか?それとも・・・


イラガ(イラガ科)のマユがありました。
イラガの幼虫は毒針毛をもち、刺されると激痛が走るため電気虫などとよばれることもあります。(マユなら毒針の心配はありません。)
イラガのマユには、イラガセイボウ(セイボウ科)という寄生蜂が寄生していることがあります。
寄生されている場合、マユに産卵痕があるためすぐにわかります。

このマユは寄生されていないようでした。


おびただしい数のクコ(ナス科)の実が見られました。
河川敷にとくに多い印象の植物です。
やっと水辺が近づいてきたようです。


開けた場所にでました。河川敷らしいゴロタ石が見られる場所でした。
ここでしばらく生物探しをしました。


秘かに探していたものを見つけたため、参加者の皆さんに見ていただきました。

それは・・・

こちらです。
ちょっと分かりにくいですが、ウスバカマキリ(カマキリ科)の卵鞘です。
残念ですが昨シーズンのものらしく卵は孵化したあとで卵鞘も壊れていましたが、河原の石の下に産み付けられていました。
ウスバカマキリは、全国的に減少しているやや珍しいカマキリです。
埼玉県では、何カ所かで記録されていますが確実な生息地は熊谷市の荒川河川敷のみとされており、埼玉県レッドデータブック2018動物編ではEN(絶滅危惧ⅠB類)にランクされています。
他の大型カマキリ(オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリ、コカマキリなど)がわりとどこにでもいるのに対し、分布が限られるのはなぜなのでしょうか。
もしかしたら、やや特殊な産卵場所(石の下や倒木の下といわれています)が関係しているのかもしれません。


そのまま河原で(といっても水は見えないのですが)昼食休憩としました。


昼食後は、河川敷の環境について改めてふり返りました。
外来植物がとても多く、環境もやや単調です。
本来の(在来の)河川敷の環境はどのようなものだったのでしょうか。


帰路ではスズメウリ(ウリ科)を見つけました。
白いかわいい実をつけています。
カラスウリより小さいのでスズメなのでしょうか。


駅まで戻って閉会行事をしました。

参加者の感想(抜粋)
・これまで目を向けていなかったような環境を見ることができて楽しかった。
・久しぶりの野外観察で楽しかった。1年生のときから参加しているが、知っている生物も復習になったり、新しい知見が得られたりして面白い。
・河川敷にマメ科の外来種が多いように感じた。どれも似ているように思っていたが、実物を見ながら説明を聞くと違いがよくわかったので、自分でも見分けられるようにしたい。
・外来種が多い環境でも希少なカマキリの卵が見られたのが意外に感じた。
・河川敷といっても川が見えないくらいうっそうとしていた。
・昆虫が越冬する形態の違い(卵、幼虫、蛹、成虫)が、生き残るための戦略としてどのような意味を持っているのか気になった。
・在来種の昆虫と近縁な外来昆虫(ゴマダラチョウとアカボシゴマダラ)の越冬行動の違いが面白かった。
・川からの距離で生えている植物に違いがありそうだった。調べてみたい。
・風で運ばれる種子が侵入するうえでは強いのかなと思った。
・近くの大麻生公園(最近、別の調査会で観察した)と近いため似ていると思ったが、けっこう違いがあった。同じ川原でも環境が違うのはなぜなのか。

生態系を観察するときは、その場で見られる生物、環境だけを観察するのではなく、関わりのある周辺の状況について考えを巡らせることが重要です。
河川敷の生態系を理解するためには、その場所だけでなく、上流の環境はどうか、川を作る山の環境はどうなっているか、そのようなことを関連させて考察することで見えてくるものが変わります。
本来、今回観察したような河川中流域ではゴロタ石の河原が広がっているはずです。
参加者が指摘しているように外来種がとても多いのは、河原に土砂が堆積してしまいゴロタ石が埋もれて、植物が生えやすくなってしまっているためと考えられます。
なぜ土砂が堆積してしまっているのかは、上流や山地の環境を知ることで見えてくるかもしれません。
環境を保全するため、環境を取り戻すため、環境を維持するために「自分たちに何ができるのか」を考えてほしいです。

次回の公開講座は3月28日(土)さいたま市田島ヶ原サクラソウ自生地で春の河川敷の動植物、埼玉県の花サクラソウの観察を予定しています。
年が明けて近くなりましたら、申し込みフォームをアップしますので、しばらくお待ちください。

 

【SSH】第5回公開講座(11月16日)参加申し込みフォーム

越谷北高校公開講座「高校生と教員の動植物研修」今年度第5回(熊谷市大麻生公園周辺)を11月16日(日)に実施します 。

当日は8:50に秩父鉄道大麻生駅改札前集合、初冬の動植物観察、荒川河川敷の生物観察を行います。
野外での動植物の観察を通じて、以下のことを学びます。

・生物の基本的な知識
・動植物分類の基礎
・探究的な学習(生物観察から課題を見出す)

参加ご希望の方は、専用フォーム(以下URLまたはQRコード)からお申し込みください。

https://forms.gle/cMZRuFpG2mnsVZis5

【SSH】第4回公開講座中止のお知らせ

明日(10月26日)に予定していた第4回公開講座ですが、予報が悪いために残念ですが中止といたします。

参加を申し込まれた皆様にはメールでお知らせしましたが、よろしくお願いいたします。

なお、次回第5回公開講座は11月16日(日)に熊谷市大麻生にて実施予定です。
後ほどHPに申し込みフォームをアップしますので、参加ご希望の方は、そちらからお申し込みください。