被災地に学ぶ 第3回
第3回 自問自答そして
以下に、2年女子生徒Nさんのレポートを掲載します。
私がこの学習会に参加したのは、「今、被災地が本当に必要としているものは何か?」ということを知りたいと思っていたからでした。学習会を終えた今、たくさん得たものがあり、答えを見つけることが出来そうです。被災地に着いたのはまだ日がでていない早朝でした。そのときはまだ周りの状況がよく見えませんでしたが、日が昇って神社から見下ろした陸前高田市の光景は今でも忘れられません。初めてこの地に来た私には、以前から何もなかったかのように感じられました。それから、内陸部へ行くにつれて被害が少ないことにほっとしながら、仮設住宅へ向かいました。話を伺っていくうちに、いくつか問題点があることが分かりました。特に、壁が薄いということと日照時間が挙げられます。この二つは家に住むということにおいて、とても重要なことだと私は考えます。ですから、何とかこの状況を打開する策を考えなければならないと思うのです。
次は、講話を開いていただきました。校長先生をされていた先生の学校では一人も犠牲者を出さなかったと聞いて、初めはとても驚きました。しかし、話を聞いていくと、先生の津波に対する高い意識がこのような結果につながったのだと納得できました。私たちは津波を知りませんが、スクリーンに映る数字はとても悲しいもので、いやでもその恐さが感じられます。助かった人にも、亡くなった人にもそれぞれの“ドラマ”があったと聞かされたときは、思わず涙がこぼれました。鈴木先生の授業では、様々な事を真剣に考えることが出来ました。震災直後の生徒たちと先生方。同級生たちの今。そして、これから私たちが創っていく未来。正直に言うと、私たちには「重い」。考えなければならないことが山ほどあって、内容も難しくて辛いことばかりだからです。でも、先生の授業を通して、そのうちのほんの少しにだけでも真剣に考えられたことは、私にとって大きな意味のあるものになりました。
今回の学習会で、たくさんの人々と出会いました。それぞれ場所も環境も境遇も違います。しかし、ただ一つ共通することがありました。「未来を考えている」ということです。自分たちの境遇を嘆いたり、現状に不平を漏らしたりする人は誰一人としていませんでした。そこにあったのは、自分たちの失ったものを取り戻すために懸命に行動する姿と、この悲しみを二度と繰り返さないという想いです。支援を続けてきた立場の私たちは、これからどのように行動していくべきなのか、もう一度考える必要があると思います。