校長室より

校長通信第25号「18歳選挙権と読書」


校長通信 第25号

18歳選挙権と読書

越谷北高等学校長 下 山  忍 

1学期の終了にあたり、私からお話をさせていただきます。

最初に、「政治や社会への関心を持とう!」という話をします。皆さんはすでに知っていると思いますが、先月、6月17日に改正公職選挙法が成立し、選挙権年齢がこれまでの20歳から18歳に引き下げられました。いわゆる「18歳選挙権」の実現です。選挙権年齢の引き下げは、終戦直後の1945年に「25歳以上」から現行の「20歳以上」となって以来、70年ぶりの改正ということになります。来年夏に予定されている参議院議員選挙からは、18歳以上の国民が選挙権を行使することになります。つまり、現在の3年生は全員、2年生でもかなりの人は、来年、高校在校中に実際に投票することになります。

国民主権を具体的に実現するために、我が国では「議会制民主主義」という制度を採っています。これは、国会を開設し、自分たちの代表を選挙で選びます。その代表である国会議員が話し合い、国民の意思を政治に反映していくという仕組みです。中学校社会科の復習のような話になってしまいましたが、私が言いたいことは、国民主権を実現するには、選挙における投票がとても重要になって来るということです。立候補者や各政党の主張を聞き、自分の考えと近い候補者や政党に投票することで、「議会制民主主義」、「代表民主制」が担保されているのです。

ですから、選挙権をもつ国民としては、アンテナを高くし、世の中のことに関心をもつ必要があります。社会で何が起こっているのか? 今、政治は何が争点になっているのか? 自分自身の考えをもって頂きたいと思っています。そのためには、「新聞に目を通す」ことが必要ではないでしょうか。新聞もかなりの分量ですから、全て熟読するというわけには行かないかもしれませんが、「見出しだけでも見る」癖をつけ、関心ある記事はしっかりと読むという読み方もあるかもしれません。本校の地歴・公民科の授業では、新聞を題材にされる先生も多いと思いますが、こうした新聞に関心をもってもらいたいという願いが込められているのです。

次に「読書の勧め」をいたします。先ほども表彰いたしましたが、本校では本を50冊読破した人を表彰しています。これは昨年度から始めたもので、皆さんが本を好きになるきっかけになれば、ということで、国語科の先生方が中心となって進めています。高校時代に素晴らしい本と出会うことは、素晴らしい友人や先生と出会うことと同じように、その後の人生を豊かにすると思います。また、先日の進路講演会で、東京大学の上田先生から「マニュアル力」から「考える力」へ、というお話がありましたが、読書は、考える力を鍛える上でも効果があると思います。

私も高校生のときに、本をたくさん読みましたが、今思い出すのは、家永三郎さんの『日本文化史』とブルーノ=タウトの『日本美の再発見』です。これらは、岩波新書というシリーズの中にあります。岩波新書は今も続々出版されていますが、当時の岩波新書は文字も小さく、高校生には難しい面もありました。しかし、当時の高校生たちは、ちょっと背伸びをして難しい本を読むことにチャレンジする風潮があり、友人同士で「あんな本を読んだ」「こんな本を読んだ」などと自慢し合う雰囲気もありました。先ほど紹介した2冊の岩波新書は、高校生の時に初めて出会い、その後も何度か読み返した私の思い出の本となりました。そして、私は日本史の教員になりましたので、その後の私の人生にも影響を与えてくれたのかもしれません。

北高生の皆さんが忙しいことは、私も十分知っているつもりですが、明日からは夏季休業になります。学期中よりは時間も取れると思います。この機会に、ちょっと読書にもチャレンジしてもらいたいと思っています。「何を読んだらよいのかわからない」、「面白い本が見つからない」という人がいるかもしれませんが、授業の中で紹介された本もあったと思いますし、自分の将来の専門にする分野の本を高校時代に読んでおくことも、大学入学後に伸びる力につながります。

また、本校の図書館に行けば、高校生に人気のある本が入り口付近に置いてあります。ライトノベルでも良いと思います。1冊の本を2人で読み、その感想を述べ合うことなどができれば、ちょっとしたアクティブ・ラーニングになるのではないでしょうか。 それから、本について言うと、「本は買うこと」も大切です。買ってすぐには読まないで置いておくことを「積ん読」と言いますが、こうした「積ん読」も大切なのです。いつかは読むことになるし、買うことが出版文化を守ることになるからです。

3つめ。私の話の最後になりますが、「あいさつは大きな声で、先手必勝」という話をいたします。学校には多くの来校者の方がいらっしゃいます。特に土曜公開授業では中学生や保護者の方が見えます。毎回、アンケートをとっているのですが、あいさつについては「生徒さんが気持ちのよいあいさつをしてくれた。」というものと、「あいさつをしてくれなかった。」という二通りの記述があります。私も朝校門に立っていますが、同じような感想を持っています。北高生は知っている先生や友人にあいさつできない人はほとんどいないと思いますが、知らない先生や来校者に会うと、ちょっと照れてしまう人もいるのかもしれません。また、あいさつをする人もちょっと声が小さい人が多いように思います。

気持ちの良いあいさつは、人間関係の第一歩です。これは高校時代にとどまることなく、一生ついて回ります。2学期は文化祭もあります。土曜授業は本校を目指す中学生とその保護者の方が多いと思いますし、それ以外の日でも、大学の先生など進路関係の来校者、他校の先生方、業者さん等、みな学校にとって大切なお客様です。「人間関係づくりは、笑顔・あいさつ・アイコンタクトから」という言葉もあります。「あいさつは大きな声で、先手必勝」をお願いします。

以上、「政治者社会への関心を持とう」「読書のススメ」「挨拶は大きな声で先手必勝」という3つのことを話しました。

明日からは夏季休業となります。1年間で最も長い休業です。40日間は長いようですが、過ぎてしまえばあっという間だと感じるに違いありません。心して過ごしてください。そして、暑い夏、体調管理をしっかりして、事件や事故に巻き込まれることなく、健康・安全に過ごしてください。それでは、2学期始業式にお会いしましょう。

(平成27年7月17日 第1学期終業式講話より)