校長室より

2016年11月の記事一覧

創造のある人生こそ最高の人生である(11月の言葉)

 10月はノーベル賞の発表があり、日本人も昨年に引き続き連続の受賞をしました。大変素晴らしいことであり、研究者やこれからの若者達に大きな希望を抱かせることになったと思います。ところで、ノーベル賞は自然科学の3賞と文学賞、平和賞、経済学賞で、数学が含まれていません。このことには諸説ありますが、数学にはノーベル賞の代わりに、フィールズ賞という賞があります。フィールズ賞は、カナダ人数学者ジョン・チャールズ・フィールズ (John Charles Fields) の提唱によって1936年に作られた賞のことです。
 ノーベル賞が年齢制限のない存命の人物へ贈られるのに対し、フィールズ賞はその時点でまさに活躍中の40歳以下の若手数学者に贈賞されているものです。
 なぜ、フィールズ賞の話を出したかといいますと、11月の言葉とした「創造のある人生こそ最高の人生である」は、日本人でフィールズ賞を受賞した広中平祐氏が「生きること 学ぶこと」という著書の中で言っている言葉だからです。
 広中氏は著書の中で、創造の喜びについて、次のように言っています。「創造の喜びの1つは、自己の中に眠っていた、まったく気づかなかった才能や資質を掘り当てる喜び、つまり新たな自己を発見しひいては自分という人間をより深く理解する喜びではないか」と。ここで、以前に紹介した「未見の我」という言葉が浮かびます。まさしく、創造する喜びは、新たな自分を発見する喜び、未見の我に出会える喜びであるのだと思います。では、創造をする喜びはどうすれば得られるのでしょうか。やはり、それは学ぶことによって得られるのではないか、と私は思います。学ぶことにより単なる知識を得るのではなく、学ぶことによって、目に見えないが生きていく上で非常に大切なものが作られていくと思います。それが、「知恵」といわれるものではないでしょうか。知識が単なる記憶したものということではなく、学びの段階を経ることによって人生を送っていく上での糧になる知恵になるのだと思います。では、知恵を身につけるためにはどうすればよいか、それは、学問をするということにつきると思います。広中氏は「学問は愉しいもの、喜びを味わうものだと語りたい」と言っています。学問をすることにより、知恵が身につき、そして、「ものを創造すること」につながり、創造することの愉しさ、喜びが出てきて、未見の我に出会えることにもなるのだと考えます。創造のある人生を送りたいと思います。