校長室より

2017年6月の記事一覧

6月の言葉(水無月の言葉)


 2020年度から始まる新しい大学入試「大学入学共通テスト(仮称)」実施の具体案が5月16日文部科学省から出されました。改革の柱は、英検やTOEFLといった民間の検定試験を英語に採用することと、国語と数学での記述式問題の導入です。これまでの「知識偏重」から、思考力、判断力、表現力を問う入試に変えようということと捉えることができます。ただ知識を覚えていれば解けるという問題ではなく、文章や図表、グラフなどを題材にして、そこから情報を編集し文章にまとめる力が必要になるということです。その際、考えた上でどのように表現するかが大切になります。

 そこで、今月の言葉を、論語の有名な「学びて思わざれば則ち罔し。思いて学ばざれば則ち殆うし」としました。その意味するところは、「学ぶだけで、自分で考えなければ、物事ははっきりしない。自分で考えるだけで、学ぶことをしなければ、確かなものにならない。」ということです。

 一生懸命勉強をして知識を得ても、自分でしっかりと考えなければ、その知識が使えるものにはならない。知識はたくさん身につけたけれども、それがどうしたということになってしまうということです。逆に、いろいろ考えても、勉強しなければ、思い込みだけ激しくて、失敗しかねないと言うことです。つまり、勉強して知識を得ることは最低限必要ですが、さらにその知識を使っていろいろ考え自分の力で表現することが大切なのです。2020年度の入試問題を考えても、知識だけではなく、その知識をベースとして、しっかり自分で考え、表現することが大切なのです。つまり、学ぶことと考えることのバランスが大切で、学んでいるときは、ただ学んでいることに満足していないか常に反省すべきであるし、何か強い思い込みがあるときは、果たして本当に学んでいるのだろうかと反省すべきだろうと思うのです。

(書は、いつも、倉澤沙綾先生に書いていただいています。今回は紙の方に色が吹き付けてありまたひと味違います。)