校長室より

2017年8月の記事一覧

知識から知恵へ(葉月の言葉)


 この言葉は、夏休みのしおりのあいさつの題名にした言葉です。

一生懸命勉強をして知識を得ても、自分でしっかりと考えなければ、その知識が使えるものにはなりません。知識はたくさん身につけたけれども、それがどうしたということになってしまうということです。逆に、いろいろ考えても、勉強しなければ、思い込みだけ激しくて、失敗しかねないということです。つまり、勉強して知識を得ることは最低限必要ですが、さらにその知識を使っていろいろ考え自分の力で表現することが大切なのです。

 さらに、得た知識を体験することをしてほしいと思います。7月に御講演を頂いた東京理科大学教授の秋山仁先生に、寄贈して頂いた著書「秋山仁の教育羅針盤 共に、希望を語ろう」の中に、「知識が知恵に-体験で深化」という章があり、体験の必要性を説いています。知識だけで大学へ行っても、身についた知識ではないから、すぐに忘れてしまう。自分で体験し、やってみて、知恵にまで高めたものであれば、その後の人生にもきっと役に立つはずです。その意味では、本校は夏休みに、希望者に民間会社「建設技術研究所」と連携し、希望者に川の科学と題して、環境と防災の視点での体験学習を一泊二日で実施しています。また、理数科の1年生には、三浦半島で生物や地学の実体験を行う野外実習をしています。まさに、知識を知恵にまで高める取組が行われています。

 2020年度から始まる新しい大学入試「大学入学共通テスト(仮称)」でも、この根幹はこれまでの「知識偏重」から、思考力、判断力、表現力を問う入試に変えようということと捉えることができます。ただ知識を覚えていれば解けるという問題ではなく、文章や図表、グラフなどを題材にして、そこから情報を編集し文章にまとめる力が必要になるということです。その際、考えた上でどのように表現するかが大切になります。そこで、顕著に表れてくるのは、やはり体験から身につけた知識つまり知恵であると思います。2020年度の入試問題を考えても、知識だけではなく、その知識をベースとして、しっかり自分で考え、表現することが大切なのです。夏休みはじっくりと時間を掛けて、じっくり考えて、表現することを学んでほしいと思います。そして、知識を自分で考え表現できる知恵に高めてほしいと思います。

 受験は団体戦とも言われます。もちろん勉強は一人でするものですが、夏期講習などで、友達と切磋琢磨することも必要です。決して一人ではありません。チーム越北として、越北プライドを持って頑張ってほしいと思います。チームで磨き合う。切磋琢磨する環境が大切です。本校にはその環境が整っています。どうか自分を信じ、自分をあきらめないで、自分の周りの全ての人に感謝して頑張って下さい。

(書は、倉澤沙綾先生に書いていただいています。今回は白にスプレーで色を付けて書道パフォーマンスばりの力強さで書いて頂きました、またひと味違います。)