2022年3月の記事一覧
令和3年度 修了式校長講話
令和4年3月24日(木)、令和3年度修了式を行いました。また、修了式終了後には、表彰を行いました。表彰では、書きぞめ中央展覧会で特選賞等に10名入賞した書道部をはじめ、男子バレーボール部、ギター部、理数科教育研究発表会に参加した理数科のほか、校内表彰として6名を表彰しました。
今回も新型コロナウイルス感染防止対策のため、KAR(北高アクティブラーニングルーム)より、各教室へライブ配信を行いました。以下は、校長講話の内容です。
皆さん、おはようございます。早いもので令和3年度も残すところ8日となりました。この時季に咲く花の一つに、こぶしの花があります。町中にも咲いていますが、白い大きめの花びらが特徴です。今年は、一昨日の雨で、残念ながら、ほとんど散ってしまったようです。
私は、毎年、この時季に、真っ白なこぶしの花を見ると、心機一転、頑張ろうという気持ちになります。禅の言葉に、年年歳歳花相似(ねんねんさいさいはなあいにたり)歳歳年年人不同(さいさいねんねんひとおなじからず)というものがあります。その意味は、咲く花の美しさは毎年変わらないけれども、人の世はどんどん変わっていくというものです。
この言葉のとおり、世の中は、目まぐるしく変わっていきます。そして、コロナ禍はもとより、そのほかの世界情勢もたくさんの課題を抱えています。そこで、先日の卒業式では、卒業生に期待と願いを込めて一編の詩を送りました。
それは、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」という詩の一節です。熱意あふれる青年教師でもあった宮沢賢治の生徒への強い信頼と期待が込められていると感じます。時間の関係で、私が一番印象に残っている二つの文のみを紹介します。
それは、「むしろ、諸君よ。更に新たな正しい時代をつくれ。素質ある諸君は、ただにこれらを刻み出すべきである。」というものです。
私が北高生に願い、期待することも同様です。在校生の皆さんにも、是非、未来を創造するリーダーの気概と優しさを持って、皆さんの持っている素晴らしい資質能力を惜しむことなく、世のため人のために生かしていく人生を送ってほしいと思っています。そのためにも残り1年、2年の北高での生活を充実したものにしてください。
終わります。
第51回卒業証書授与式式辞
令和4年3月16日(水)、天候にも恵まれ、春の訪れを感じられる中、埼玉県立越谷北高等学校 第51回卒業証書授与式を挙行いたしました。厳かな中にも温かみのあるすばらしい式でした。式の様子は、生徒会の生徒も含めた「卒業式配信チーム」によって、式に御参加いただけなかった保護者の皆様にライブ配信を行いました。本校は、こうしたことが自前でできる点も大きな強みだと思います。以下は、式辞の内容です。
式辞の前に、第51回卒業証書授与式を、このように縮小した形で挙行することを、校長として、卒業生の皆さん並びに保護者の皆様にお詫びします。大変申し訳ございません。本日、御出席が叶わなかった保護者の皆様にも、どうかよろしくお伝えください。
それでは、改めて式辞を述べます。
式辞 356名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
また、保護者の皆様におかれましても、本日のお慶びはひとしおのことと存じます。お子様の栄えある御卒業を、心からお祝い申し上げます。
卒業生の皆さんは、本校において、日々勉学に精励し、進路実現に邁進するとともに、学校行事や部活動など何事にも全力で取り組んでまいりました。皆さんが、本校で過ごしたかけがえのない3年間は、今後の人生において、大きな財産となることを確信しております。
そこで、晴れの門出にあたり、卒業生の皆さんに期待と願いを込めて一編の詩を送ります。それは、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」という詩の一節です。その一部を抜粋して紹介します。熱意溢れる青年教師であった宮沢賢治の生徒への強い信頼と期待が込められていると感じます。
「生徒諸君に寄せる」 宮沢賢治
諸君は、この颯爽たる、諸君の未来圏から吹いて来る透明な清潔な風を感じないのか。それは、一つの送られた光線であり、決せられた南の風である。
諸君は、この時代に強いられ率いられて、奴隷のように忍従することを欲するか。
むしろ諸君よ。更に新たな正しい時代をつくれ。
諸君よ。紺色の地平線が膨らみ高まるときに、諸君は、その中に没することを欲するか。実に諸君は、この地平線におけるあらゆる形の山岳でなければならぬ。
新しい時代のコペルニクスよ。あまりに重苦しい重力の法則から、この銀河系を解き放て。
新たな時代のマルクスよ。これらの盲目な衝動から動く世界を、素晴らしく美しい構成に変えよ。
新しい時代のダーウィンよ。更に東洋風静観のチャレンジャーに乗って、銀河系空間の外にも至り、透明に深く正しい地史と、増訂された生物学をわれらに示せ。
素質ある諸君は、ただにこれらを刻みだすべきである。
潮や風、あらゆる自然の力を用い尽くすことから一足進んで、諸君は、新たな自然を形成するのに努めなければならぬ。
ああ諸君は今、この颯爽たる、諸君の未来圏から吹いて来る透明な風を感じないのか。
というものです。
宮沢賢治の生きた昭和初期と同様に、私たちの生きる現代もまた、多くの課題を抱えています。皆さんには、未来を創造するリーダーの気概と優しさを持って、皆さんの持っている素晴らしい資質能力を惜しむことなく、世のため人のために生かしていく人生を送ってほしいと心から願い、そして期待します。
結びに、保護者の皆様をはじめ、地域や関係の皆様からこれまで寄せられました温かい御支援、御協力に感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの洋々たる前途を祝福して、式辞といたします。
令和4年3月16日 埼玉県立越谷北高等学校長 片野 秀樹