2023年3月の記事一覧
令和4年度 修了式校長講話
令和5年3月24日(金)、令和4年度修了式を行いました。また、修了式終了後には、表彰と報告会を行いました。表彰では、全国大会、西関東大会で入賞した書道部、吹奏楽部、生物部をはじめ、県大会、地区大会で入賞した天文気象部、バドミントン部、水泳部、剣道部など、計57名の生徒を表彰しました。報告会では、西関東大会で金賞第3位となった吹奏楽部とグローバルリーダー育成プロジェクトの県代表としてシンガポール研修に参加した2年生の報告がありました。こうした生徒の活躍には、毎回、感心させられるばかりです。
今回は、3年ぶりに体育館で実施することができました。以下は、校長講話の内容です。
皆さん、おはようございます。早いもので令和4年度も残すところ8日となりました。
この時季に咲く花の一つに、こぶしの花があります。町中にも咲いていますが、白い大きめの花びらが特徴です。今年は、桜の開花が早まるほど、暖かい日が続いたため、例年より少し早めに散ってしまいました。
私は、毎年、この時季に、真っ白なこぶしの花を見ると、心機一転頑張ろうという気持ちになります。禅の言葉に、年年歳歳花相似(ねんねんさいさいはなあいにたり)歳歳年年人不同(さいさいねんねんひとおなじからず)というものがあります。その意味は、咲く花の美しさは毎年変わらないけれども、人の世はどんどん変わっていくというものです。この言葉のとおり、世の中は、目まぐるしく変わっていきます。大学入試を含め、皆さんに大きく関係する教育関係も同様です。私たちは、ずっと変わることのない不易の部分を大事にしつつ、新しく変わる流行の行く先を見極めなければなりません。
本校は、スーパーサイエンスハイスクールの指定校ですが、先日、改めてⅡ期5年間の指定を受けることができました。Ⅰ期に引き続き、Ⅱ期の申請を希望した理由は、スーパーサイエンスハイスクールの取組が、今後の教育の流行に合致していると判断したからです。一つ一つ詳しく説明する時間はないので、キーワードを上げて簡単な説明をします。頭の片隅に置いておいて、詳しくは自分で調べてみてください。
まず、一つ目は、探究活動です。全学年共通の総合的な探究の時間をはじめ、2年生の科目には、古典探究や日本史探究など、「探究」という文字の入った科目が新たに設置されました。探究活動とは、課題を発見し解決する活動ですが、価値観や能力の異なる他者と、主体的に協働して解決する過程が大事になります。
二つ目は、文理融合です。本校では、以前からクロスカリキュラムを通じて、教科横断的な知識、つまり、リベラルアーツの育成を推進していますが、これからは、更に進んで、そもそも文系、理系という分け方がなくなっていきます。
三つめは、データサイエンスです。1年生が受験する2年後の共通テストから「情報Ⅰ」を受験科目とすると発表した国公立大学が大きな割合を占めています。これは、デジタル時代の「読み・書き・そろばん」としての「数理・データサイエンス・AI」をすべての大学生に身に付けさせるという国の育成目標が背景となっています。
四つ目は、アウトリーチ活動です。これまで生徒会や部活動で行ってきた交流活動などもその一つですが、大きなものとしては、SSHの活動の一環として取り組んできて、昨年夏に越谷市に提案をした「グリーンインフラプロジェクト」があります。こうしたアウトリーチ活動に留まらず、学校外のイベントに積極的にチャレンジすることがポイントになります。部活動でも公式戦やコンクール、練習試合や合同練習を利用して力が付くように、身に付けた知識や技術などの能力は、こうした他流試合を通じて磨かれていきます。
目まぐるしい勢いで進んでいる教育の流行について、四つほどキーワードを挙げて説明をしましたが、何も心配することはありません。皆さんがすべきことは、第一に、教育の不易の部分である日々の授業を大事にすること、そして、部活動や学校行事に全力で取り組むことです。すべては、そこから始まり、その延長線上にあります。そして、もう一つ大事なことは、何事にも失敗を恐れず、やってみよう精神を忘れずに進むことです。そうすれば、必ず力が付きます。焦らず、怠らず、目標に向かって進んでいきましょう。
終わります。
花束贈呈式挨拶
令和5年3月16日(木)、卒業証書授与式後、PTAの卒業対策委員の皆様による花束贈呈式が行われました。卒業対策委員の皆様から、管理職を含めた第3学年の教職員に大変立派な花束を頂きました。10分程度の短い式でしたが、こうした人と人との関りが持てる場のありがたさを改めて感じることができました。以下は、挨拶の内容です。
本日は、お子様の御卒業、誠におめでとうございます。また、このような場を設けていただき、ありがとうございます。
この3年間は、コロナの影響を常に受けた中での高校生活になりましたが、卒業生たちは、制限下の中でできることを工夫し、よく頑張ってくれました。校長として、誇りに思います。
私が卒業生たちに願うことは、恐らく皆様と同じだと思います。何を幸せと思うかは、人それぞれだと思いますが、卒業生の一人一人が、自分が思う幸せをつかんでほしいということだけです。
本校のスクールカラーは、ネイビーブルーですが、ネイビーブルーの絆は、永久に不滅だと思っています。私たちは、いつでも卒業生を応援しています。卒業生には、未来へと安心して羽ばたいてもらいたいと思います。
本日は、ありがとうございました。
第52回卒業証書授与式式辞
令和5年3月16日(木)、暖かな陽気で、春の訪れを感じられる中、埼玉県立越谷北高等学校 第52回卒業証書授与式を挙行いたしました。今回も制限下ではありましたが、卒業生の御家族2名の参加が実現できたことは、何よりでした。以下は、式辞の内容です。
式辞の前に、第52回卒業証書授与式を、このように縮小した形で挙行することを、校長として、卒業生の皆さん並びに保護者の皆様にお詫びします。大変申し訳ございません。ただし、今回一つ良かったことがあります。それは、式の最後の校歌斉唱を皆さんと一緒に、声を出して歌えることです。私も久しぶりの校歌を、精一杯心を込めて歌いたいと思います。
それでは、改めて式辞を述べます。
式辞 344名の卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。
また、保護者の皆様におかれましても、本日のお慶びはひとしおのことと存じます。お子様の栄えある御卒業を、心からお祝い申し上げます。
卒業生の皆さんは、本校において、日々勉学に精励し、進路実現に邁進するとともに、学校行事や部活動など何事にも全力で取り組んでまいりました。皆さんが、本校で過ごしたかけがえのない三年間は、今後の人生において、大きな財産となることを確信しております。
そこで、晴れの門出にあたり、卒業生の皆さんに期待と願いを込めて一編の詩を送ります。それは、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」という詩の一節です。私が、この詩に出会ったのは、40年以上前の高校生の頃ですが、私自身が、この詩を正しく理解しているかはいまだ分かりません。しかし、この詩に触れると心の中に爽やかな風が吹いて、初心を思い出すことができます。詩の一部を抜粋して紹介します。
熱意溢れる青年教師であった宮沢賢治の生徒への強い信頼と期待が込められていると感じます。
「生徒諸君に寄せる」 宮沢賢治
諸君は、この颯爽たる、諸君の未来圏から吹いて来る透明な清潔な風を感じないのか。それは、一つの送られた光線であり、決せられた南の風である。
諸君は、この時代に強いられ率いられて、奴隷のように忍従することを欲するか。
むしろ諸君よ。更に新たな正しい時代をつくれ。
諸君よ。紺色の地平線が膨らみ高まるときに、諸君は、その中に没することを欲するか。実に諸君は、この地平線におけるあらゆる形の山岳でなければならぬ。
新しい時代のコペルニクスよ。あまりに重苦しい重力の法則から、この銀河系を解き放て。
新たな時代のマルクスよ。これらの盲目な衝動から動く世界を、素晴らしく美しい構成に変えよ。
新しい時代のダーウィンよ。更に東洋風静観のチャレンジャーに乗って、銀河系空間の外にも至り、透明に深く正しい地史と、増訂された生物学をわれらに示せ。
素質ある諸君は、ただにこれらを刻みだすべきである。
潮や風、あらゆる自然の力を用い尽くすことから一足進んで、諸君は、新たな自然を形成するのに努めなければならぬ。
ああ諸君は今、この颯爽たる、諸君の未来圏から吹いて来る透明な風を感じないのか。
というものです。
宮沢賢治の生きた昭和初期と同様に、私たちの生きる現代もまた、多くの課題を抱えています。皆さんには、未来を創造するリーダーの気概と優しさを持って、皆さんの持っている素晴らしい資質能力を惜しむことなく、世のため人のために生かしていく人生を送ってほしいと心から願い、そして期待します。
結びに、保護者の皆様をはじめ、地域や関係の皆様からこれまで寄せられました温かい御支援、御協力に感謝申し上げますとともに、卒業生の皆さんの洋々たる前途を祝福して、式辞といたします。
令和5年3月16日 埼玉県立越谷北高等学校長 片野 秀樹