2024年3月の記事一覧
【SSH】3月23日公開講座(さいたま市田島ヶ原サクラソウ自生地)
3月23日(土)さいたま市田島ヶ原サクラソウ自生地にてフィールドワークの公開講座を実施しました。
朝から霰がぱらつき気温も低かった中ですが、高校生19名、教員4名が参加して自然観察を楽しみました。
さいたま市桜区(秋ヶ瀬公園の南側)の田島ヶ原サクラソウ自生地は、1920年に国指定天然記念物に指定され、さいたま市などによって保全管理されています。
立ち入りが制限されている区画の間には芝生の公園(桜草公園)があり、秋ヶ瀬公園と合わせて休日の散策にぴったりです。
サクラソウをはじめとした希少な植物が見られ、自然観察や環境学習にも活用されています。
管理棟(トイレ)前で開会行事
気温が低く動物(昆虫)が期待できないため、田島ヶ原の植生調査(マップつくり)実習をしました。
まずは、自分の歩幅で距離を測る練習です。20mの歩数を数えます。
次に、調査地を一巡りし、植物の種類を確認します。
ノカラマツ
アマナ 気温が低いためか、開花しませんでした。
ノウルシ トウダイグサの仲間です。群落ごとに微妙な特徴の違いがあり、遺伝的多様性を感じられました。
アメリカスミレサイシン 外来のスミレが侵入していました。
サクラソウ(開花前)
カメラのストラップが写りこんでしまいました・・・
県の花でもあるサクラソウは園芸植物として人気がありますが、自生のものはとても貴重で、埼玉県内で安定した自生地は二か所しかありません。(田島ヶ原と上尾市の江川河川敷)
三月中下旬から開花をはじめ、4月に見ごろを迎えます。
観察をしながら、動植物の生息と環境、ヒトのかかわりについてみんなで考えます。
ヒロハノアマナ アマナの仲間ですが、本来この場所にはいないはずです。
自生地の外に出ると、とたんに道端雑草が多くなるのも面白いです。
自生地の中ではゲンノショウコ、レンリソウ、トダスゲが見られますが、外に出るとアメリカフウロ、ヤハズエンドウ、オオイヌノフグリとがらりと変わります。
植生マップ作りを始めました。多くの参加者が自生地の中の歩道を進む中・・・
独自性を発揮して別ルートを進む方々も。
大切なことは、自分で考えて、失敗を恐れずにいろいろやってみることです。
次の写真は、参加者の調査結果の例です。
各自で工夫をして調査ができました。
スマホの位置情報など、デバイスを駆使する工夫についても学びました。
サクラソウ自生地を出ると、(公園内ですが)市街地の植物が多くなります。
スズメノカタビラが開花していました。
おなじみの路傍植物ですが、よく観察すると気づくこともあります。
道端のエノキにアカボシゴマダラの幼虫を見つけました!
これは中国大陸由来の亜種で、日本産亜種(奄美大島に分布)との交雑やエノキ食の蝶(ゴマダラチョウ、オオムラサキなど)との競合を危惧され、特定外来生物に指定されています。
かわいい幼虫なのですが、飼育は禁止されています。
最後に、参加者が植生マップを作っている間に見つけておいた、開花していたサクラソウと、ジロボウエンゴサクを観察しました。
サクラソウ 観察した区域の中で開花していたのはここだけでした。
ジロボウエンゴサク(ケシ科キケマン属) 春先に花をつけ、夏には枯れるスプリング・エフェメラル(春の妖精)のひとつです。
面白い和名は、三重県でスミレを太郎坊、本種を次郎坊と呼んでいたことにちなんでいます。
エンゴサク(延胡索)はキケマン類の漢名です。
参加者の感想(抜粋)
貴重な植物を見ることができて良かった。
(これまでの公開講座に参加して)たくさんの植物を知ることができたけれど、まだまだ知らない植物が多いと実感した。今後もこういった機会に参加していきたい。
ぱっと見では同じように見えるツルボ、ノビルなど見分けられるようになった。
ヒトの関わり方の違いで減少する希少植物もあるということを知って、手入れの方法を考えていく必要があることが分かった。
その辺に生えているような植物をちゃんと見ていなかったけれど、きちんと観察すると面白いことが分かった。
調査や観察を通じて、いろいろな人とコミュニケーションをとれてよかった。
植生マップの作り方は授業に役立てられる。自生地のサクラソウを数十年ぶりに見ることができた。(教員)
授業では座学だけでなく、フィールドワークも取り入れたい。(教員)
来年度も、フィールドワークの公開講座の実施を計画しています。
自然観察に興味のある高校生、教員の皆様、ぜひご参加を検討ください。
【SSH】令和5年度第2回SSH運営指導委員会を実施しました
本日、第2回SSH運営指導委員会を実施しました。第1回に引き続き、指導委員の先生方より今年度の取組みについて指導・助言をいただきました。
生徒の変容をどのように捉えていくのか、SSHの取組みがもたらす波及効果をどのように拾っていくか、教科や文理の壁を超えた連携をどのように実践していくかなど、幅広い観点から意見が出ました。
指導委員の先生方、ありがとうございました。次年度に向けて、取組みのブラッシュアップをしてまいります。
【SSH】理数探究基礎
3月12日(火)3・4限に一年生理数科による課題研究の中間発表会が開催されました。
一年生では生物・地学分野の中で興味のあるテーマを設定します。
6月に本発表になりますが、現時点までの成果を中間発表として行い、さらに研究を進めます。
2年理数科の生徒も発表見学をして、それぞれの班にコメントを書き発表全体の評価をします。
来賓5名と県教育局から2名迎える中で、1年生はこれが初めての発表で少し緊張感がありました。
司会は生徒が進行します。
テーマは以下の通りです。
生物1班:ボルボックス体細胞の単離条件
生物2班:音楽振動が酵母の発酵に与える影響
生物3班:ネコハエトリの上昇と光の関係
生物4班:フラスコモにおける原形質流動の観察
地学1班:中州が形成される川の条件
地学2班:堤防による津波被害の軽減
地学3班:岩石の種類による風化の仕方の違いについて
地学4班:砂防堰堤と土砂流の関係について
地学5班:地盤改良による液状化対策
【発表の様子】
最後に講評をいただきました。
毎回様々な質問が飛び交いますが、どの班もしっかりと質問に答えていました。
今後の課題が見えてきたところで、本発表が楽しみです。
【SSH】越谷北高校が第4回グリーンインフラ大賞優秀賞を受賞しました!
越谷北高校で株式会社建設技術研究所のご協力のもと2018年から2022年まで5ヵ年で取り組んだ「越北SDGsグリーンインフラプロジェクト」の取り組みが、国土交通省主催の第4回グリーンインフラ大賞において優秀賞をいただきました。
国土交通省の報道発表資料はこちら
2018年度(SSHⅠ期指定の年)から5年間、様々な地域でグリーンインフラ(生態系機能を応用してインフラに関する諸課題を解決する考え方)に着目した現地実習、探究活動を行い、5年目の2022年にはグリーンインフラを応用した学校周辺のまちづくりについて高校生が探究し、越谷市長に提案をしました。
これらの活動について、協力いただいた株式会社建設技術研究所と連名でグリーンインフラ大賞に応募し、全国から応募のあった事例の中から優秀賞に選んでいただきました。
令和6年2月20日に東京ビッグサイトで実施されたグリーンインフラ産業展の中で表彰式があり、昨年度グリーンインフラプロジェクトの中心となって活動していた卒業生4名と参加してきました。
東京ビッグサイト
表彰式では、代表して株式会社建設技術研究所の方に壇上に上がっていただきました。
表彰後の記念撮影では、卒業生4名も一緒に国土交通省副大臣、グリーンインフラ官民連携プラットフォームの代表など、ご来賓の方々とともに撮影していただきました。
表彰式に参加した卒業生4名です。
彼らに代表して参加してもらいましたが、今回の受賞は5年間のプロジェクトに参加した歴代の生徒たちの探究活動の積み重ねあってのものです。
理科や社会など単一の教科分野では解決することのできない、分野横断、学際的な課題の探究は、”生徒たちの単純に数字で測ることのできない実力”を伸ばす大事な取り組みです。
今年度(SSHⅡ期)からは、再生可能エネルギーに着目した探究活動が始まっています。
生徒たちの探究が、今後どのように進んでいくかも楽しみです。