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2024年11月の記事一覧

【SSH・国際交流】さくらサイエンスFacebook

11月13日(水)に越谷北高校を訪問した さくらサイエンスハイスクールプログラムについて、JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)さくらサイエンス公式Facebookで紹介されています。

閲覧は下記リンクから

https://www.facebook.com/sspjapan/posts/pfbid0nHkLuAiALWbt8BoKiuqXGHmoEkLfp6296dtmDCpAnY9TrTuJcDqCRxG5MeQhsrSUl

 

【SSH】11月16日公開講座(深谷市武川駅~荒川河川敷)

11月16日(土)深谷市の秩父鉄道武川駅に集合してフィールドワークの公開講座を実施しました。
今回は、高校生5名、教員2名が参加しました。
予報は日中曇りで、一瞬だけパラっと降水がありましたが傘をさすほどでもなく、ときおり日差しが差す暖かな小春日和でフィールドワークにもってこいの1日になりました。


武川駅で集合、開会行事をしました。
早い参加者は、7時半に現着して周辺の植物を観察していたようです。

 


駅周辺は住宅地ですが、住宅地でも動植物を観察することはできます。
むしろ、身近な自然は探究課題にしやすいのではないでしょうか?


道路わきのヒメスミレ(スミレ科)は、タイヤで踏まれても花を咲かせています。

スミレの仲間は本来は春に咲きますが、秋に花をつける株がしばしば見られます。
花芽形成の条件を調べるのも面白いかも?


シンテッポウユリ(ユリ科 タカサゴユリとテッポウユリの交雑種)の果実がありました。


シンテッポウユリの種子は薄い羽根状になっていて、風に乗ってよく飛びます。
もともとは園芸品種ですが、野外に逸出してあちこちで見られるようになりました。
これも探究課題になりそう・・・。


まだ花がありました。純白のきれいなユリです。


コンクリートに囲まれたところにも植物は生きています。
この区画だけで、カタバミ、オッタチカタバミ(ともにカタバミ科)、ホトケノザ(シソ科)、オヒシバ(イネ科)、ヒメマツバボタン(スベリヒユ科)、ナズナ(アブラナ科)、チチコグサモドキ(キク科)などの植物種が見つかりました。
種類の分からない芽生えもあるようなので、時期を変えてまた調べれば、10種を超える植物が見つかると思います。
この30cm×30cmほどの区画でどのような生態系が成立しているか、調べるのも面白そうです。


マサキの生垣にノブドウ(ブドウ科)、カラスウリ(ウリ科)、アオツヅラフジ(ツヅラフジ科)などのつる植物が絡んでいます。

アオツヅラフジに幼虫がいました。おそらくヒメエグリバ(ヤガ科)です。幼虫で越冬する蛾の仲間です。


見つけた植物をハンドブックで調べています。
どうやらアメリカイヌホオズキ(ナス科)のようです。この日は、イヌホオズキの仲間がたくさん見つかり、種の違いを見るよい機会になりました。
イヌホオズキ、オオイヌホオズキ、テリミノイヌホオズキ、カンザシイヌホオズキなど・・・


空き地をクズ(マメ科)が覆っています。
クズは在来植物とされていますが、樹木すら覆いつくすほどに繁茂することがあり、植生に大きな影響を与えます。
本当に在来種なのでしょうか。


クコ(ナス科)にホシハラビロヘリカメムシ(ヘリカメムシ科)がついていました。
カメムシの仲間は成虫越冬のものが多く、晩秋でも成虫をよく見ます。


ちょっと遠くて写りが悪いですが、クズ群落にツチイナゴ(バッタ科)がたくさん見られました。
バッタ科では珍しい成虫越冬の種です。
多くのバッタは、卵で越冬し春になると孵化して幼虫になります。
卵で越冬すること、成虫で越冬することには、どのような戦略的な差があるでしょうか。


植物の特徴には個体差が大きく、種の同定が難しい個体もままあります。
これはアレチノギク(キク科)でよさそうですが・・・


畑地のへりのヒメスミレ群落でツマグロヒョウモン(タテハチョウ科)の幼虫を見つけました。
なぜかコンクリートブロックに登っている個体が何匹かいたので写真を撮ったのですが、よくみると頭側(右側)に白い粒が見えます。(現地では気が付きませんでした)
寄生ハエの卵かもしれません。
寄生虫に侵入された昆虫は、おかしな行動を見せることがあります。探究のチャンスだったかも・・・

畑で作業をされている地元の方とお話をすることができました。
数十年前の付近の様子を教えてくれました。
生物のフィールドワークでは、動植物などばかりを見てしまいがちですが、聞き取り調査も重要です。
その場所がかつてどんな場所で、どんな歴史があるかや、ヒトがどのように生物と関わっているか、を知ることができます。


コニシキソウとアレチニシキソウ(ともにトウダイグサ科)は、よく似ていてぱっと見では見分けがつきにくい個体もあります。
果実を見ると、全体に白い毛が生えている(コニシキソウ)か、稜のみに毛が生えている(アレチニシキソウ)かで見分けることができます。
フィールドワークには、ルーペが必需品です。


ちなみにオオニシキソウ(トウダイグサ科)は大きさが全然違うので見間違えませんが、果実に毛がありません。


荒川の河川敷に入りました。
石の下にいる虫を探しました。カメムシやゴミムシの仲間が見られます。


マルバヤナギやカワヤナギ(ともにヤナギ科)の若木が見られます。
ヤナギは水際でよく見られる樹木です。どのような特徴があるでしょうか?


ホシアサガオ(ヒルガオ科)が見つかりました。
アサガオの仲間は意外に種類が多く、今回はアサガオ、マルバアサガオ、アメリカアサガオ、マルバアメリカアサガオ、マメアサガオ、マルバルコウ、ホシアサガオの7種がみられました。


河川敷では、希少な在来種が見つかることがよくあるのですが、今回は探せど探せど外来種ばかりでした。
上流にできたダムのために川が氾濫しなくなり、氾濫の影響を受けるような河原に生息する在来の植物は絶滅の危機に瀕しています。
水害は困りますが、生物多様性に影響があるのも問題です。どうすればよいのでしょうか。


道なき道を進んで河川敷を出て、駅に戻ります。


駅前に戻って閉会行事です。羽生行の時刻が近づいていたので、手短に・・・。

参加者の感想(抜粋)
・生物の多様さを見ることができた。似ているけれど違いがある、似ていないけど共通点があるといったことがあり面白かった。
・アサガオやホオズキの仲間が、同じようでも違いがあって面白かった。自分でも確認してみたい。
・自分が通っている学校の近くなのに、見たことのない植物がたくさんあった。
・季節的に昆虫はあまり見れないかなと思ったけれど、ゴミムシの仲間がたくさんいてよかった。
・住宅街から河川敷まで環境が変わって見られる生物が変わっていくを見れた。これまで覚えたつもりの植物が、花がついていないだけで分からなくなってしまった。
・自宅の近くの川と比べてみたいと思って参加したが、近所の川と違って多様な生物を見ることができた。
・冬が近づいて、カラフルな花はないだろうと思っていたが、小さいけれどきれいな花や実を見ることができた。

今回は、季節の違いで見られる生物(あるいは、見慣れた生物の異なる姿)を見ることができました。
生活圏から離れた場所でのフィールドワークも楽しいのですが、季節の違いや、年月の経過での変化を調べるには身近な自然が一番です。
身近な自然を大切にしていってほしいと思います。

次回の公開講座は3月22日(土)、秩父市武州日野駅周辺で春の里山の動植物観察を予定しています。
近くなりましたら(2月初旬ごろ)、参加申し込みフォームをアップいたします。
フィールドに興味関心のある方のご参加をお待ちしております。

【SSH】科学の甲子園

1年生6名、2年生6名で科学の甲子園に行ってきました。

 

科学の甲子園とは、各校の代表者6名が物理・化学・生物・地学・数学・情報の筆記テストと実技テストを受け、その得点を合計したものを競い合うものです。

今回の実技テストはゴムの弾性力を使って発射物を飛ばし、目標に近い地点に落とす装置を作りました。

入賞には届きませんでしたが、各々が全力を尽くし、学びを深める良いきっかけとなりました。また個人だけでなく、6人で筆記テストを協力して解いたり、実技テストの装置を分担して作ったりしたことで、チーム戦で行うことの意味を実感し、仲間の大切さを再認しました。

ありがとうございました!

 

【SSH・国際交流】さくらサイエンスプログラム受け入れ事業

11月13日(水)さくらサイエンスプログラム・ハイスクールプログラムでの海外高校生受け入れ事業を実施しました。


JST(国立研究開発法人科学技術振興機構)が主催するさくらサイエンスハイスクールプログラムは、海外各国の優秀な高校生を招聘し、日本の最先端の科学技術や研究機関を訪問し、高校生等と交流するプログラムです。

今回は、インド、インドネシア、ペルー、マーシャル諸島、パラオ、ミクロネシアから総勢92名の優秀な海外高校生が訪日し、約1週間でかずさDNA研究所、理化学研究所、埼玉大学、極地研究所、東京科学大学、国立科学博物館、日本科学未来館などを訪問します。
越谷北高校は、その3日目の訪問先として5年ぶりに受け入れ事業をすることになりました。


宿泊先からバスで越谷北高校に到着しました。
プログラムとしては3日目ですが、海外高校生のみなさんは元気いっぱいです。


到着後、少し休憩をはさんで歓迎セレモニーを実施しました。まずは校長あいさつです。
交流が目的の事業ですので、2年4組の生徒が海外高校生のテーブルに交ざって参加しています。


教頭と理数科主任が学校の説明をしました。

日程の説明のあと、2年4組の生徒と自由にお話をしてもらいました。
互いの国のこと、好きな生物のこと、アニメのことなど、出会ったばかりとは思えないほど盛り上がっていました‼

その後、3、4時間目の時間帯は、英語の授業にあたっている2クラスずつ会場に来て交流しました。


司会に出された題が答えになるような質問をつくっています。
English only ですが、みんな楽しそうです。


4時間目は、日本の文化をお題に交流します。


折り紙に挑戦しています。日本人高校生でも苦戦する難易度でした。


お箸に挑戦、上手に使えました!

お昼休みは、海外高校生ひとりに北高生ひとりがバディとしてついて、思い思いの場所で昼食を摂りました。

 
教室でランチミーティングですね。楽しそう!


天気が良かったので外で食べることもできました。

 

5時間目は、3年4組(理数科)の生徒が自分たちの研究を英語で発表しました。
2~3人ずつで海外高校生のグループに英語で発表、英語で質疑応答です。


質疑応答まで英語でのやりとりは理数科生徒にもよい刺激になったようです。

最後のプログラムは、東京大学の胡桃坂仁志教授による講演です。
机を片付けて、椅子を並べなおしました。


海外高校生と北高生がまざって座っています。


講演会は2年生の司会で進行しました。


胡桃坂先生はクロマチン(真核生物の核内でDNAとヒストンタンパク質が結合してつくる構造)の動的な構造変化によるエピジェネティクスのメカニズムがご専門です。
DNAに関する基礎的な内容から、先端の研究に関するところまで、分かりやすくお話ししていただきました。


胡桃坂先生のオリジナルソングNucleosome songとGo around!も紹介いただきました。
突然のライブ(Youtubeですが)に盛り上がりました。

胡桃坂先生のYoutubeチャンネルから、当日流された曲をご紹介します。




海外高校生も、北高生も、楽しく、興味深く講演を聞くことができました。


質疑応答でも熱心にお話をしていただき、予定の時間をオーバーしそうになるくらいでした。
胡桃坂先生、ありがとうございました。


海外高校生と北高生からそれぞれ代表1名ずつお礼のあいさつをしました。

胡桃坂先生と記念撮影(冒頭の写真)のあと、閉会セレモニーです。
記念撮影のため椅子を撤去したので、スタンディングでのセレモニーになりました。


海外高校生からのお礼の言葉をいただきました。
短い時間でしたが、交流を楽しんでいただけたようです。


閉会後も、楽しそうに話を続けていました。
仲良くなって連絡先を交換しています。


バスの発車時刻が近づいてきました。名残惜しいですがお別れです。

今回の交流事業は、北高生にとって大変よい経験になったようです。
放課後、廊下を歩いていたら教室から「将来インドネシアに行くんだ!」という声も聞こえました。

グローバルが当たり前の世の中になっていますが、意識していないと国際的な視点を身に付けることは難しいと思います。
北高生としても、交流を通して海外に目を向けるきっかけのひとつになったようです。

訪問いただいた海外高校生の皆さん、引率の先生方、企画運営に携わられた皆様、ありがとうございました。

 

【SSH】グリーンエネルギープロジェクト現地調査

10月19,20日にかけて宮城県でグリーンエネルギープロジェクトの現地調査を実施しました。

グリーンエネルギープロジェクトは、越谷北高校SSHⅡ期5年間を通じて、再生可能エネルギーなどエネルギーをテーマに探究をするプロジェクトです。

今回は、1年生14名、2年生11名の計25名が参加し、エネルギー利活用を観点に木質バイオマスの有効活用や生態系、インフラ整備との関係について現地調査をしました。

1日目:株式会社KURIMOKU、鳴子温泉駅周辺、サスティナヴィレッジ鳴子の視察
2日目:仙台海岸の視察

 

《株式会社KURIMOKU》
植林・育林・伐採から製材・乾燥・加工を一貫して行っている製材工場です。
山の循環を行い、環境への配慮を第一に考えている会社です。

 

↓運ばれた丸太。大きさごとにカットされています。
 

↓大きい丸太は機械だけでは切れないので職人さんがカットします。美しい…
 

↓小さい丸太は機械でカットされます。
 

↓木材が変形しないように乾燥させる設備です。
化石燃料を使わず、カットする際に出た木屑を燃やした熱を使用して資源の有効活用をしています。
 

↓木屑を固めてペレットを作っています。接着剤は使わず、圧縮することで固めています。
 

↓工場で加工された木材で作成された家具が展示されています。先ほど丸太を様々な大きさに切っていたように、使用用途に適した大きさの木材を部品ごとに使い分けて加工されています。
 

 

《鳴子温泉駅周辺》
活火山によって発生する温泉や地熱の活用方法を学びました。
この周辺のエネルギーは、ほとんどが地熱によって賄われているそうです。
温泉は人々の生活を支えるとともに、発電や文化としても地域に深く根付いていることを学びました。

 

湧き出る温泉の湯気↓
 

路地を流れる温泉↓
 

 

《サスティナヴィレッジ鳴子》
エネルギーの自給自足によって生活を成立させている集落を視察しました。
大自然の中で自然と共存する生活ができるのは素晴らしいことだと思いました。
自然を有効活用した持続可能な社会の在り方として、鳴子町のPRもしているそうです。

《仙台海岸》
東日本大震災による津波の被害を受けた仙台海岸の今を視察しました。
津波によって破壊されたインフラの復興を迅速に進めたい中で、海岸に住む希少な生物の生息環境への配慮、戻って来たいと思っている人の生活など、自然と共生した未来の仙台海岸を考え復興を進めていることに感動しました。
海岸で見られる希少な生物の観察も行いました。

↓震災後に復興された防潮堤は、景観のためにデザインを工夫したり、希少生物の生息地を迂回するようにカーブさせたりと、様々な要素を考えてつくられていることを学びました。
エネルギー利活用やインフラ整備について考えるときの参考になります。

↓ヤマトマダラバッタがいました。宮城県レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類の、海岸に生息するバッタです。

《活動を終えて》
この実習を通して、エネルギーを生産することと環境を守ることとの両立は簡単ではないが、現状を知り、未来を担う私達自身がそれぞれで出来ること考え、周囲に発信していくことが大切だと実感しました。